Yuimas

周囲と和合しつつも「わたし」を忘れないためのアイテムをつくっています(準備中)。

なぜわたしは糸を編むことになったのかー「想定外」の先にみつけたもの

ハンドメイドブランド Yuimas です。
家庭糸やししゅう糸を編んで作ったアクセサリーを展開しています(試作中)。

毛糸ならまだしも、普通の「糸」を編むことになるなんて、つい数か月前まで、まったく想像していませんでした。

本記事では、糸を編み始めた経緯を語ってみたいと思います。

想定外のこと、あるよね

小旅行にでかけたときの話。
その日私は、勝尾寺(かつおうじ)という、勝ちダルマで有名なお寺に行く予定でした(だるまのコロッとしたフォルムと、いかつい表情のギャップが好き)。

公式サイト>>>勝運祈願・水子供養・人形供養・大阪観光 ::: 西国二十三番札所 勝尾寺|勝尾寺


なかなかアクセスが渋い場所にあり、大阪の千里中央駅から路線バスで30~40分くらいの立地。しかもバスは一日3本しかないという。

乗り遅れたらいかん、ということで、早めにバス停へ。

わかりづらいけれどかなり並んでた


まだ定刻の10分前なのに、すでに行列!
「え! 平日の午前中なのに、なんで?
桜でも紅葉でもないこの時期に、なんで?」

どうやら団体観光客の方々のもよう(とくに中国の方に大人気らしい)。

到着したバスの運転手さんも、行列を見て「えっ?」という表情をしておられたので、普段はここまでじゃないのだろうと思いますが(普段からこんな行列だったら増便するはずですしね)。

「……いやー、これ、乗れるかな??」と人々が乗り込む様子を見守る。
私の10~20人前くらいの時点ですでに満員に近い状態。
そして私の後ろにも10人くらい待機。

無理やり乗れないこともないかもしれないけれど、ぎゅうぎゅうの状態で30~40分も耐えられるか……

否、私には無理っぽいぞ。
混雑が苦手すぎて電車を何本か見送って、入試に遅刻しかけたことすらある人間ですから。

ええい、ここはタクシーつかっちゃえ、と勇気をもって列から離脱……したものの、タクシーだと4000円くらいかかると判明してヒヨる。
ちなみに次のバスは3時間後。

こりゃどうしたものか、としばらく途方に暮れました。

予定を繰り上げて万博記念公園へ

この時点でまだ11時過ぎでしたが、勝尾寺の後に寄る予定だった万博記念公園へ移動。

事前予約しておいた、太陽の塔の見学までだいぶ時間があったので、敷地内の国立民族学博物館に入りました。

国立民族学博物館

さほど興味がないなりにも、見学しているうちにそれなりに楽しくなってきて、「まあ、これはこれでいいな」と。
展示物のボリュームもあるので結構満足しました。

でもときおり「あー勝尾寺行きたかったなー。なんで今日に限って混んでるんだチクショー」という思いが顔を出したのも事実。

ちょっとだけモヤモヤした気分でミュージアムショップを練り歩いていたところ、気になるピアスを発見。

トルコの伝統技術「オヤ」のピアス

トルコの伝統手芸「オヤ(レース編みの一種)」で編まれたもの。
つやのある糸で精巧に編まれていて綺麗、扇っぽいフォルムも華やか。

ただ、私の好きな色味がなかったので、普段だったら見送る場面です。

しかし、勝尾寺に行けなかったダメージを引きずって判断力が落ちていた私、「いいや、気晴らしに買っちゃおう」とレジへ。

そしたら、レジにいたスタッフさんが、すごく丁寧にモチーフのヨレを直して、透明の袋に入れてくれたんですね。
内心「そんなに高いものじゃないし、適当でいいですよ~、お手数をかけてすいませんー」くらいの気持ちでした。

さらにお手製の紙袋(博物館のカレンダーを加工したもの!)に入れてくれました。
「国立民族学博物館」のシールともバッチリ合ってる!

カレンダーで作った袋に入れてくれた

この状態で受け取ったとき、なんか心が一気に「ふわっ」と上がるのがわかりました。

自分ではうまく切り替えられなかったあのちょっとしたモヤモヤが、あっさりと晴れたような。
ちょっとした魔法のように感じました。

「こういうちょっとした心遣いで、人間の気分ってこうも変わるものなんだ」とまずは衝撃で。

そして、
「誰かを幸せにするようなことは私には到底できないと思ってきたけれど……雑貨とか小物を通じて、ほんの少しだったら、ほんの少し気分を上げてもらうくらいだったら、もしかするとできるかもしれない」
と、このときはじめて思ったのでした。

つけ心地もも良かった

色味が好みじゃなかったわりに、落ち着いたピンク色のピアスは意外と私の顔に似合って、自分でも驚きました。

大ぶりで華やかなわりに、糸製だからとても軽く、つけ心地もよいのです。

購入時のいいイメージのおかげで、ピアスをつけていないときでも、視界に入るとちょっと気分が上がる。

自分でつくりたくなってきた

こうなると自分でも作りたくなるのが私という人間。
まずは教室を探したのですが、あいにく居住地から通えるところはなさそう。

ということで、書籍を購入して練習を開始。

まだすべての編み方をマスターできたわけではないけれど、マスターし終わるのを待っていたら機会を逃しそうなので、試作に着手しました。

著作権の問題上、書籍のお手本のまま作るわけにはいかないので、「オヤ」の基本的な技術を組み合わせたり、糸を変えたりしながら、試行錯誤中です。

試作中

 

おわりに

予定通り勝尾寺に行けていたら、私は国立民族博物館に行くことはなかっただろうと思います。

勝尾寺に行けなかったからこそ、「オヤ」のピアスに遭遇することができました。
それまで思いもしなかった「つくって売ってみる」という道が開けました。

これまでの人生を振り返っても、意図せぬ予定変更の先で得られるものって、意外とあったかもなあ、と思ったりします。

行く道がふさがれて「こりゃーどうしたもんか」と頭を抱えたときは、流れに身をゆだねてみると、案外「あら、逆にこっちでよかったわ」となるのかもしれませんね。